夏休み突入ということで、地元のダンス教室に通っている生徒の人は、夏祭りなどのイベントに出演する機会が増える時期ですね。
夏以降は、イベントや発表会など、ステージに立つことも多くなる一方で、ダンスのレッスン中にこんなことを感じたことはないでしょうか。
「先生がなんかキビシイんだけど(-_-)」
ダンスの先生の雰囲気がいつもとピリっとしたり、注意するときのフレーズも厳しくなったりする場合がありますが、それにはきちんとした理由があります。
レッスン前に個人的に嫌なことがあって機嫌が悪くなっているワケではないし、日頃のストレスをレッスンで発散してるわけでもありません(たぶん)。
他のスタジオの先生のことは全く分からんけど、単に機嫌が悪かったり、嫌われてて当たられてる感じがするのなら、そいつのレッスンはクソなのでもう通わない方がいいです。ダンサーとして実績があっても人間的に終ってると思います。
まあそんな人はいないとは思うけど(棒読)、人間なのでやっぱり何パーかは存在してるでしょうね。
さて、この記事のテーマですが、タイトルの通り。
嫌われてもいないのに、怒らせるようなことをした覚えもないのに、なぜかピリついてる、あの感じ。
キッズのダンス教室でも、一般の人が通うダンス教室で、多少差はあるかと思いますが、概ね厳しくなると思います。
逆に、本番当日までピリピリガミガミしてる先生は少ないハズ。
出演する発表会なりイベントなり「当日が近づくにつれてダンスの先生がピリつく現象」という“ダンスあるある”の、先生側の理由をこの記事で紹介します。
うちのダンス教室の場合
僕の手伝ってるダンス教室でも、この夏のイベントで新ネタの初出しということで、ここ数回のレッスンでは先生(奥さん)が厳しいモードになっていました。
イベント前の恒例になってるのは【ワンミスでアタマから踊り直し】という、大人でもしんどいヤツです。
ミスが続くと体力が無くなり、集中力が切れます。
集中力が切れるとミスが増え・・・という、地獄みたいな練習です。
※僕も大学生の頃、通ってたレッスンの発表会の本番前に経験しましたが「誰だこの練習を発明しやがった奴は」と毎回思ってました。
ステージに立ってパフォーマンスする人にとって、絶対あってはならないことが、凡ミスです。
振り付けのミスや移動のミスなど、単なる練習不足な部分がないようにするのは当たり前で、さらに完成度を高めるために、細かい角度とか体の使い方を合わせます。
踊ってるときの、表情もかなり重要なので【引きつった表情をしてないか】【顔や目線が下がってないか】まで、いちいち何回も言います。
本番が近づくにつれて、修正箇所がどんどん浮き彫りになるので、時間がいくらあっても足りないという状態になります。
厳しいモードのメリットとは?
先生のテンションが厳しいモードになると、レッスンの緊張感は自然と高くなります。
そしてそのメリットは、緊張感が高くなったことで【本番ミスするあろう箇所をあぶり出す】ことが出来ること。
普通のテンションの練習では見えてこない、ブラックボックスを掘り起こす作業です。
ガッツリ練習してる生徒は自信満々に取り組めますが、詰めが甘かったり、練習不足の生徒は、何回も同じ部分でミスするので、頭から踊り直す度にプレッシャーが掛かります。
厳しいモードの練習のときは、体力的にもしんどいし、精神的にもきついと思う。
しかし、本番前に本気モードで練習してくれないと困ったことが起きます。
どんだけ踊りが素晴らしかろうが、凡ミスはノイズですから。
真っ白なシルクのシャツに、醤油が一滴こぼれたら、そこに目が行きますよね。
ダンスも同じで、いいダンスをしていても、お客さんの目線はミスの方に流れてしまいます。
「ただただ楽しい」で済むのはキッズ世代だけです。ダンス歴にもよりますが、うちの教室の場合だと小学3年以上にはある程度のクオリティを求めます。
「今の自分ヤベェ!練習しないと!」
と、未完成なことを自覚して、気持ちを張ってもらうためには、厳しいモードが必要不可欠です。
本番を楽しめるのは、しんどい練習を乗り越えた人だけ
練習=準備です。
しっかり練習した人、限界まで努力した人だけが【本番を楽しむ】というご褒美にありつけます。
衣装を着て、ステージに立って、観客の前で踊る
出番は数分かもしれないですが、その数分のためにどれだけ自分を注いだか、でその本番の楽しさが決まります。
しかし、準備不足のまま不安を抱えてステージに立つと、いいパフォーマンスが出来るわけがない。
ステージで大きなミスをして、初めて準備の大切さに気づいても遅いし、トラウマレベルで心に傷が入る可能性すらあります。
ほとんどが何人かのメンバーで出ることになると思いますが、メンバーを引っ張る存在になるのか、それともメンバーの足を引っ張る存在になるのか、どちらが楽しいのかは明らかです。
先生が厳しくなる理由「楽しく踊って欲しい」
(たぶん)ダンスの先生をしている人のほとんどが思ってることですが、
自分のレッスンを受けてくれてる人に「楽しく踊って欲しい」という気持ちがあります。
踊れるようになって「ダンス好き」「楽しい」って思ってくれるだけで最高なんです。
でも、準備不足で、不安な状態で、ステージに上がって、目の前のお客さんに圧倒されながら、引きつった顔で踊ると、全然楽しくないんですよ。
ステージに立ってる人が楽しんでなさそうなのに、観てる人が楽しくなるわけがないし、目の前のお客さんの顔が楽しくなさそうなのに気づいたら、踊ってる方もさらに楽しくなくなります。
厳しいモードのダンス先生の根底にあるのは「楽しく踊って」というシンプルなものです。
めっちゃ厳しいなら、それだけ熱心で、その想いが強い先生なんじゃないかなーと思いますよ。
もしも厳しくなる理由が、「嫌いだから」のような個人的なものだったら、たぶん逆に何も言ったりしないだろうし、
何か聞かれても「ま、いいんじゃないのー」「そうそう、そんな感じでOK」みたいに、適当な感じで流しちゃうんじゃないでしょうかね。
ダンスって、練習したらその分だけ上手くなるので、伸びを実感できると超楽しいんですよね。
できないことが出来るようになる、という感覚のとき楽しいですよね。
レベルの高い振り付けを、ノーミスで、自分なりのアレンジもこっそり加えたりするレベルで踊れたら、一番楽しいし。
苦手なステップやムーブがあったけど、めちゃくちゃ練習して、逆に得意になったりすると、さらに楽しい。
ダンス以外の全てのことにも通じますが、一生懸命取り組んだからこそ楽しいのであって、しんどいことも全部ひっくるめて楽しい、という感覚になります。
学校のテストのように数値化はできないけど、ダンスが楽しいのは、自分の成長や進化を実感しやすいところにあるのかも。
周りにダンスしてる人が自分以外いない状態でも、ステージのパフォーマンスを見てくれた友達が「僕も/私もやりたい!」って思ってくれると、楽しいですよね。
不安要素を一つも本番に持ち込まないようにするためには、フルパワーの練習を重ねるのが近道です。
まとめ
ダラダラとした長文になりましたが、ここまで読んで下さいまして、ありがとうございます。
書き出したら止まらなくなったので、まとめます。
- ダンスの先生が厳しいのは、好き/嫌いやストレスとか個人的な理由でなない(と思う)
- 緊張感を持たせることで、ミスする箇所をあぶり出す
- しんどい練習は、本番楽しむために欠かせない準備
ザックリまとめると、こんな感じの事を書いていたかと思います。
自分の本来持ってる70%くらいの力でタラタラ練習して、本番振り付けが飛んでもヘラヘラして踊り続けて「あー楽しかったー」で終わっても、それはそれで楽しいかもしれないですけど
でもそれは、楽しいというか、楽(らく)という感情だと思います。
70%の力で取り組んでてそれなりに形になっていたら楽しいかもしれんけど、練習の時から出し惜しみなく全力を尽くした人の満足度には遠く及びません。
フルパワーで準備出来てる人は、ミスして悔しくても最終的には「楽しい」が勝ちますからね。
ミスっても最小限に抑えられるし、冷静にカバーできるので、ミスがミスに見えません。
表情も引きつったりしないし、笑顔も作った顔ではなく、余裕と楽しさから自然と湧き出るものなので、見ている人にも楽しさが伝わります。
そのレベルまで振り付けを踊り込んで、本番に臨むべきです。
厳しいモードのときでも、それに頑張って食らいついてくる生徒は、ステージで踊る回数が増える度に上手くなるし、ダンスが好きな人だと思います。
「厳しいけど楽しい」「しんどいけど楽しい」というのが分かってる人。
逆に、親が習わせてる感の強い生徒や、流行りにのって始めた中高生は、この厳しいモードがより辛く感じるので、上手くならないうちに辞めていきます。
ちょっとゲスな話ですが、教える側からすると一生懸命教えても、ダラダラ教えても、教え方でギャラ(月謝)が上がることはありません。
ということは厳しいモードで熱心に教える分、手間はかかるし、時間もパワーも余計に使うだけなので、普通に教えるよるも確実に損なわけですよ。
だから、厳しいモードになる先生って、そういう損得よりも「楽しく踊って欲しい」という気持ちが上回ってるのかな、と。
というわけで、レッスンが厳しくても、負けずに食らいついて、どんどん上手くなって、楽しく踊れるようになってください。
ダンスの先生が厳しいことでお悩みの方は「こういう理由もあるんだなー」と思っていただけたら幸いです。