いやーしびれました。
2017年になって初めて手に取った「秘密結社Ladybirdと僕の6日間(喜多川泰/著)」という本なんですが、読んだあとの衝撃と余韻たるや、「君の名は。」の一回目を観た時と同じくらい、もしくはそれ以上です。
「これって今の僕のために書かれた本なのでは?」という本だったので、まだ年が明けてまもないですが、今年読んでよかった本ランキング1位が早くも確定してしまいました。
才能はあるものの、勉強もスポーツも全てにおいて中途半端で、ダラダラと毎日を過ごしている桜山颯汰(高3)が主人公で、ある日偶然Ladybird(秘密結社)に出会い、その出会いをキッカケに成長していく物語。
この作品の中で「かっこいい大人」について書かれていて、いやーまさしくそれだなと納得すると同時に、僕もこうありたい、と強く思ったのでこの記事に刻んでおきます。
かっこいい大人①自分を磨き上げ、その力を自分以上に大切な人たちへ
映画監督/二階堂肇の手紙(P239)の部分で、大人のあるべき姿が語られています。
「自分ではない誰かのために、自分以上に大切な誰かや何かのために、自分の人生を使うんだ。」
子供の頃といえば、自分の持ってるエネルギーは全て自分に注がれます。
自分の夢や幸せに向かって努力します。全て自分の思いのまま。そうやって成長していくのが普通です。
「人生を折り返すまでは、ひらすらに自分の力を磨く。そして、折り返してからは次の世代の人たちのために磨いてきたその力を使う、そんな生き方を伝える。」
磨かれた自分になっていないと、どんなにいいことを言っていてもまるで説得力がなく、伝わりません。
僕の場合、次の世代といえば、身近なところで言うと息子(1歳8ヶ月)になります。
彼が大人になったときに、僕の姿を見て「こうありたい」と感じてもらえるようになりたいです。
そのためにまずしなければいけないことは、自分の夢を実現すること。
かっこいい大人②自分と交わした約束を守れる人
物語後半部分(P249-P250)で、建築家/熊谷健治によって語られています。
「大人は誰かと交わした約束を守ることで生きている。」
今の社会では、約束を守ることなく生きてはいけません。
会社と交わした約束(雇用)、顧客と交わした約束(契約)、社会と交わした約束(納税)など、社会と大人との間には色々な約束繋がっています。
「約束を破った瞬間に行きていく上で大切な絆を失う。」
きちんと仕事をして成果をあげなければ、会社は雇い続けてくれません。マイホームを建てるために組んだローンも、働かないと返済できません。
なんやかんや愚痴を吐き出しながらも、約束を果たすために大人は毎日働かなければいけません。
普通に生きていくということは、改めて考えると大変なことです。
「だけど、誰かと交わした約束をきっちり守って生きている大人たちも、ある約束は平気で破る」
「自分と交わした約束を守れる奴はほとんどいない。でも約束を平気で破るやつは信用できない。だから、自分との約束を破るやつは、誰より自分のことが信用できなくなる。つまり、『自信』がなくなっていく。」
この部分を読んだ瞬間「オレのために書かれとるな」と思いました。
他の人と関わりあることなら前のめりで行動できるのに、自分自身のことになると後回しになりがち。結構そういう人っているんじゃないでしょうか。
英語をしゃべれるようになりたいから英語の勉強をしたい、とか
5kgダイエットして、腹筋バキバキになりたい、とか
素晴らしい計画を立てたのにも関わらず、続かなかったり、痩せなかったりするのは、【自分との約束】を破ってるからなんですよね。
「だけど、他人と交わした約束を守るときと同じくらいしっかりと、自分と交わした約束を守って生きれば、そいつは一角の人間になれる。きっとそれだけで、思いのままの人生を手にすることができるだろう」
自分との約束は、破ったとしても周りに迷惑がかからないので、いとも簡単に破ることができます。
もう思い当たる節しかないので、この行を読んだとき辛くなりました。
「かっこいい大人」=「成功者」ではない
「かっこいい大人」というテキストから浮かぶイメージは、【年収3000万円】【タワーマンションの最上階に住んでる】【外車2台を乗り回す】【毎月海外旅行行ってる】【元モデルのめっちゃ美人な奥さん】のような、経済的に成功をおさめた”成功者”と言われてる人の姿ではないでしょうか。
あのギラギラしてる感じは、誰もがいいなーと思ったことがあるはず。
でも、そうじゃないなーとあらためて確信しました、この本を読んで。
「うわー僕も(私も)こういう大人になりたいな」って思える人に出会えることって、普通に生活してたらほとんどないし、出会えないまま人生が終わってしまうことの方がほとんどだと思うんですよ。たぶん。
しかし、この本にはこうなりたいと思える「かっこいい大人」がいますので、ぜひ読んでみてください。よくわからないビジネス本や自己啓発本より、よっぽど響きます。
物語の舞台が”現代”なので、背景描写や情景もイメージしやすく、活字が苦手な人、これまで読書の習慣がなかった人にも読みやすいです。
後半から終盤にかけて、涙が止まらなくなりました。
主人公と同じ世代のときにこの本に出会っていたら、僕の人生はもっと違うものになってただろうなーと思います。受験を控えてる人へのプレゼントにもいかも。これを読んで燃えない人は嘘です。
大学受験を控えている10代はいうまでもなく、20代30代40代50代まで幅広く楽しめる作品なのでほんと騙されたと思って読んでください。
映像化してほしいなー。